こんにちは、ソラです。
今回は、チューリングが初めて車の販売を開始した件についてです。
<2023/3/7追記>
「THE FIRST TURING CAR」の納車式について追記しました。
<2023/1/29追記>
YouTubeに動画投稿しました。
チューリングは、千葉県柏市にある完全自動運転車両の開発・販売を目指している会社で、将棋ソフト「Ponanza」を開発した山本一成氏と、カーネギーメロン大学でPh.Dを取得し、GMの運転支援システム「Ultra Cruise」のソフトウェア設計・開発を担当した青木俊介氏が2021年に設立したスタートアップ企業です。
チューリングの大きな特徴としては
- 「We Overtake Tesla(テスラを超える自動車メーカーを作る)」を目標に、自動運転レベル5の完全自動運転を搭載した自動車を”一から”開発する
- 自動運転のシステムはテスラと同じ”カメラのみ”
と、チャレンジ精神にあふれた取り組みをしています。
そんなチューリングが初めて世に送り出すクルマはどんなクルマになるのでしょうか?
プレスリリースの内容
PR TIMESに掲載されている内容を引用します。
チューリング、自社開発のAI自動運転機能を搭載した「THE 1st TURING CAR」を販売開始
2023年1月20日 11時00分完全自動運転車両の開発・販売に取り組むTURING株式会社(千葉県柏市、代表取締役:山本 一成、以下「チューリング」)は、自社開発のAI自動運転システムと、オリジナルエンブレムを搭載した「THE 1st TURING CAR」を「1台限定」で販売いたします。
「THE 1st TURING CAR」はレクサスRX450hをベース車両として、チューリングが自社開発したAI自動運転システムと、オリジナルエンブレムが搭載されており、チューリングとして初めてエンドユーザー向けに販売する製品です。
■チューリングのAI自動運転機能について
従来の自動運転/運転支援技術は、多種多様なセンサーや周辺領域の高精度3次元データなどを用いて動きを制御するというアプローチをとることがほとんどでした。一方、チューリングのAI自動運転機能は「人間が目で見たものを頭で判断して運転する」のと同様に、特殊なセンサー等を用いず、フロントガラスに取り付けられたカメラで読み込んだ画像データから、白線や前走車をAIが検知/判断し車両を操作します。チューリングはこの技術を、昨年10月に実施された「北海道一周長距離走行実証」を含む、各地での実証で進化させてきました。■エンブレムについて
「THE 1st TURING CAR」を販売するにあたり、チューリングオリジナルのエンブレムも制作しました。このエンブレムには「日本のシンボルである鶴が降り立ち水面に波紋が広がるように、世界の自動車業界に一石を投じる」「ソフトウェアとハードウェアが両翼となって完全自動運転車を生み出す」という願いが込められています。
■チューリング 共同創業者CTO 青木俊介のコメント
チューリングは自動運転システムをつくる会社ではなく、車両開発まで含めた「完成車メーカー」になることを目指しています。2025年に100台、2030年には10,000台の生産と販売をマイルストーンに置いており、今回の「THE 1st TURING CAR」はその第一歩となる製品で、チューリングにとって非常に重要な意味を持ちます。今回は1台限定の販売となりますが、ご関心のある方は是非お問い合わせください。
これまでのチューリングの動き
TURINGが立ち上がったのは、2020年頃に山本氏と青木氏が自動運転について毎日話し合いをしていた事がきっかけの様です。
Ponanzaがプロの棋士に勝った後、山本氏は人工知能を使って次はどんなことをしようかと考えていました。
その時、名古屋大学の特任准教授となり、青木氏と出会いました。
青木氏は、カーネギーメロン大学で自動運転についての研究をしていて、2020年に日本に帰ってきました。
その後、青木氏も名古屋大学の特任准教授となり、山本氏は自動運転業界の文化についていろいろお話を聞いたとのことです。
そして2021年8月にTURING株式会社を設立するに至ったとのことです。
設立後、チューリングはウェブカメラだけで動く自動運転システムの開発に取り組み、2022年8月には千葉県柏市内の公道で試験を実施。
2022年10月には北海道を一周する長距離走行実証を実施。総走行距離1,480kmのうち約95%の道のりを自動運転モードでの走行に成功いたしました。
また、シードラウンドで10億円の資金を調達したり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業「SBIR推進プログラム」に採択されたりしています。
「THE 1st TURING CAR」のスペック・購入方法
今回発売する「THE 1st TURING CAR」は4代目 AL20型 レクサス・RX450h、外観を見る限り後期型をベースにしていて、チューリングが開発した自動運転システムと、オリジナルエンブレムが搭載されています。
搭載されている自動運転機能は以下の3つです。
- 設定された走行速度をキープしながら車線に沿って高速道路を走行する
- 前方車両との距離を考慮してブレーキをかける
- 車線変更のサポート
国内法規に対応する為、ドライバーが主体でシステムは運転を支援する役割にとどまるとのことです。なので、自動運転レベルは2。つまり運転支援システムとなりますね。
このほか基本的な機能・性能については4代目レクサス・RX450hと変わらないと思います。
そしてお値段は2000万円を想定しているとのことです。この価格は、レクサス自体の能力も残しているので、そこにチューリングの付加価値を足した価格となっているそうです。
元のRX450hは580~711万円の価格帯ですので、チューリングの開発したシステムは1289~1420万円となりますね。
一般の感覚からすると高い金額ではありますが、チューリングがこのシステムを開発するのに費やした労力を考えると、この値段で売っても赤字になるレベルではありますね。
それに、今の時代に日本で一から自動車メーカーを目指している会社の記念すべき初めてのクルマとなりますので、それだけの価値はあるのではないでしょうか。
また、チューリングとしては誰に販売するのかはコミュニケーションを取って決めるそうです。
抽選で決めなかったのは、初めてのお客さんという事もあり、手厚いフォローが必要と判断したからだそうです。
そしてクルマの購入方法についてですが、PR TIMESの記事内にリンクがあり、そこで購入希望者を募集しています。
今後のチューリングの計画
チューリングは、単に自動運転システムをつくる会社を目指しているのではなく、車両全体の開発まで含めた「完成車メーカー」になることを目標にしています。
今後、チューリングでは2025年に100台、2030年には1万台の生産と販売を目指している最中で、今回のTHE 1st TURING CARの販売はその第一歩となります。
そして、レベル5の完全自動運転EVの実用化を2025年に設定しています。
業界の常識から見れば、2025年にレベル5…それもカメラとAIのみで実現するのは”控えめに言って”とっても難しい挑戦です。
ですが、TURINGはそれを承知でこの目標を掲げ、常識を打ち破ろうとしています。
山本氏は、AppleやGoogleなどのGAFAMにテスラを指し、「彼らは自分達ならできると勘違いをし始めたのだ。アメリカはいつも夢見ている。」「我々も同じようにステキな勘違いをしてもいいはずと願いこの会社を立ち上げました。」とコメントしています。
とっても難しい挑戦ですが、実現してほしいですね…!
今回は以上です、ここまで読んでいただきありがとうございました。
追記(2023/3/7)
2023/3/7、チューリングは「THE FIRST TURING CAR」の納車式を実施したと発表しました。
2023年1月20日に販売を発表してから、多数の購入問い合わせが来ていたみたいで、その中から成約された方に向けて納車式を実施したとのことです。
購入者が2000万円もするこの車を買いたいと思った理由としては、
Turingの「完全自動運転を実現するためには「賢いAI」を作る必要があるという」ビジョンに共感したこと、「We Overtake Tesla」という目標に向かって、社員の方たちが目を輝かせながら働いている様子を見て「この会社を応援していきたい」と思ったこととのことです。
また、試乗したときの感想としては「リアルタイムで状況を判断するAIが相棒になって運転を助けてくれる様な感覚」との事でした。
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