テスラの「ROBOTAXI(ロボタクシー)」の商標登録が拒絶されたことについて

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こんにちは、ソラです。

今回はテスラの「ROBOTAXI(ロボタクシー)」の商標登録が拒否されたことについてです。

商標登録が拒否された経緯

テスラが「ROBOTAXI」という名称をUSPTOに申請したのは2024年10月10日。
サイバーキャブやロボバン、オプティマスを披露した「We,Robot」が行われた日ですね。

月日が流れ2025年4月14日、USPTOの審査官に割り当てされて却下。

そして2025年5月6日、「非最終拒絶理由通知(nonfinal office action)」を発行し、テスラの代理の商標弁護士宛てに電子メールで連絡しました。

この通知の中でUSPTOの審査官は、「ROBOTAXI」という用語について、既存の商標と競合するものは見当たらないとしつつも、自動運転タクシーを意味する一般的な言葉であり、特定の企業を識別する商標としての独自性が不足しているため、merely descriptive(単なる説明的表現)と判断し、商標登録は認められませんでした。

その判断の根拠として、Amazon傘下の自動運転車開発企業「Zoox」、ニュースサイト「The Verge」、そしてWikipediaのスクリーンショットがA4用紙32枚分にわたって張り付けられていましたね。

異議申し立てについて

今回の拒否は最終決定ではなく、テスラには通知から3ヶ月以内、手数料を支払えば6ヶ月に異議申し立てを行う機会があります。


これを過ぎると申請は放棄されたものと見なされてしまいます。

異議申し立てする際には、その理由を伝えないといけません。

気になったので調べてみると、対応方法は3つあるみたいです。

1.審査官の認定に対して意見書を提出して争う

シンプルに反論するってことですね。

出願された商標は商品の内容やサービスを暗示しているに過ぎず、直接的に説明していないため登録されるべきであると主張することが多いみたいです。

「ROBOTAXI」がテスラ独自のブランドとして識別可能であることを証明する資料や証拠の提出が求められますが・・・難しいでしょうね。

2.すでに長年(最低5年)使用している

出願商標が単なる説明であるとしても、米国で長年(少なくとも5年以上)継続的に使用した結果、使用に基づく識別力(セカンダリーミーニング)を獲得したことを、証拠資料と共に立証する方法です。

5年前にサービスが開始されていたらこの方法を使えたでしょうね。

3.補助登録簿での出願にする

補助登録簿とはすでにアメリカで使用されている識別力の弱い商標のための商標登録簿です。

具体的には、

  • 単に記述的な商標(例:「AMERICAN JUDO」|第41類の柔道のトレーニングサービス)
  • 地名からなる商標(例:「Marina Del Rey Insurance Services」|第36類の保険サービス)
  • 人の姓からなる商標(例:「COHEN’S」|第40類のカビ取りサービス。商標権者の姓がCohen)
  • 商品の形状からなる図形や立体形状の商標
なかつる行政書士事務所 米国商標で補助登録を取得することのメリットと注意点

といった感じのものです。

“南アルプスの天然水”とか”クレアおばさんのクリームシチュー”くらいひねらないとダメってことでしょうか?

補助登録簿に出願された商標は、識別力を完全に欠くものでなければ拒絶されません。

なので主登録簿の審査でmerely descriptive(単なる説明的表現)として拒絶されても、こっちでは申請が通る可能性があります。

ただ、使用が開始されていない場合は、審査が継続している間に使用を開始する必要があり、その上で登録することなります。

補助登録した後に5年間使用し、再度、主登録簿での出願を行い、使用による識別力を獲得していることを主張する方法です。

影響について

この判断は、テスラが6月にテキサス州オースティンで開始を予定している自動運転タクシーサービスに影響を与える可能性があります。

ブランド名は、ただの名前ではなく、その企業の技術力やビジョンを象徴する重要な要素です。

6月に控える自動運転タクシーのサービス開始に向け、テスラはネーミングやマーケティング戦略の見直しを迫られる可能性があります。

…って感じの事を書いてる記事やコメントを見たり見なかったりしましたが、個人的にはあまり影響が無いかなって思います。

というのも、テスラは「ROBOTAXI」という名前を使えないわけでは無いからです。

たしかに商標が取れないことは問題ですが、言い換えると、他の企業も商標を取れないってコトでもあります。

もし、今回の拒絶理由が「すでにZooxが取ってるからダメ」だったら、Zooxがテスラに対して裁判を起こすので、テスラは「ROBOTAXI」という名前を使えませんでした。

ですが、「一般的だから商標登録できない」ということは、テスラ以外の企業も「ROBOTAXI」という名前を商標登録できないってコトでもあります。

もしかすると、これが狙いで申請してたのかもしれませんね。

今回は以上です、ここまで読んでいただきありがとうございました。

<参考資料>

USPTO 98795392 商標ステータス
https://tsdr.uspto.gov/#caseNumber=98795392&caseSearchType=US_APPLICATION&caseType=DEFAULT&searchType=statusSearch

USPTO 98795392 非最終拒絶理由通知(nonfinal office action)の通知
https://tsdr.uspto.gov/documentviewer?caseId=sn98795389&docId=NFIN20250506110959&linkId=1#docIndex=0&page=1

USTPO shuts down Tesla’s attempt to trademark ‘Robotaxi’ term
https://electrek.co/2025/05/07/ustpo-shuts-down-tesla-trademark-robotaxi-term/?utm_source=chatgpt.com

テスラ、「ロボタクシー」の商標登録に失敗 米特許庁「一般的すぎ」
https://jidounten-lab.com/u_54370#_-2

米国商標|拒絶理由(オフィスアクション)の主な種類と知っておくと役立つ対応方法
https://crissxing.com/us-tm-office-action/

米国商標で補助登録を取得することのメリットと注意点
https://crissxing.com/us-tm-supplemental-register/

What Is A Merely Descriptive Rejection And What Does It Mean?
https://wariplaw.com/what-is-a-merely-descriptive-rejection-and-what-does-it-mean/

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